私が見えないもの

今日は一日暇だったので
テレビをずっと見てたら
ガンの特集番組が2つもあった。
それを見て
「ガン」と一口に言っても
患者にはいろんな人生があるのだな
とゆーこと。
症状も様々だし
その人を支える人も様々。
考えてみれば当然なのだが
番組を見て改めて思った。
出演していた患者を
全て兄に重ねて見ていた自分に
ふと気付いた。
でも違うし、兄とは。
番組の一つでは
末期ガンの患者を扱ったものもあって
兄は後遺症と闘いながらも
生きてはいる。
でもどっちがイイとかはもちろんない。
それぞれのガンとの闘い。
私はガン患者を人括りにしていた気がする。
それにガンの
ダークな面ばかり見ている気がする。
まぁガンにイイ面があるとも思えないけどね。
ただ共通している所もあった。
患者が闘病中または病状が回復してから
『何か大事なもの・真実に気付いた』
とゆー点である。
兄は22歳とゆー若さで脳腫瘍が発見された。
彼はまた腫瘍が発見される半年前に
若くして結婚していた。
奥さんも兄と同い年だから22歳と若く
闘病生活は彼の体のことだけではなく
2人の絆や私たち家族との関係が
試される出来事となった。
不慣れな土地での夫の闘病生活が辛くなり
彼女が何も言わず
子供と実家に帰ってしまったとき
兄は
「大丈夫だから」
としっかりした口調で一言言った。
なんと重みのある言葉だろぉと思い
聞いたときは
涙が止まらなかった。
私は彼のその言葉を待っていた気がした。
こんなに家族がグチャグチャになって
自分も生死の境を彷徨っていたのに
私たちが一番欲しかった言葉を
なんともない顔で言ってくれた。
生まれたときから片目がほとんど見えず
そのせいかしょっちゅう怪我をしていた兄。
今では両目とも視力は
もぉほとんどないらしい。
彼にはきっとみんなが見えない
真実や大事なものが
見えているんだろぉな
と、今は思う。
そんな彼の心に
唯一の妹はどぉ映っているのだろぉ?